クータ・バインディング

読む人にやさしい
「ユニバーサルデザインブック」

通常のP U R製本よりも、開きの良さとデザイン性を兼ね備えた渋谷文泉閣の独自技術です

背に筒状の紙(クータ)を貼り、背表紙と本体の間に空洞をつくることで、手で押さえなくても本が閉じにくい画期的な製本です。本のユニバーサルデザインとして、大手出版社様をはじめ、幅広い分野からご依頼をいただいています。日本、台湾、韓国で特許を取得した渋谷文泉閣の独自技術です。環境にやさしい「PUR」接着剤を使用した「エコブック」でもあります。

製本加工可能な仕様

判型A6~B4束厚7~55mm
用紙本文・表紙とも問いません(※)その他小口折表紙(雁垂表紙)にも対応(※)
クータ用紙タント<70>、NTラシャ<70>、色上質<厚口>、コニーラップ<75.5> 、他
印刷した用紙も使用可能です(※)
※ 詳しい仕様につきましては、営業担当へご相談ください。

クータ・バインディングの
優れている点

背が割れない

従来のPUR製本

表紙が背に接着しているため、表紙の背に天地方向のシワが入り、背が割れてしまいます。

クータ・バインディング

本文と表紙の背が接着していないため、背が割れる心配がなく、デザインを損ねないまま、本がきれいに保てます。

開きが良い

従来のPUR製本と比べ、表紙の背が接着していないため、本の開きが良くなります。書き込みをする参考書や、見開きの多い図録等に最適です。

デザイン性の向上

クータの用紙は、タントや色上質などから豊富な色がお選びいただけるため、視覚的な可能性が広がります。印刷した用紙を用い、デザイン性も高められます。

短納期での対応

クータを貼る機械を自社で設備し、毎時3,000枚を貼ることが可能なため、大きいロットにも対応します。
クータは表紙に貼りますので、中身と同時進行となり、通常のPUR製本とほぼ同程度の納期での対応が可能です。

クータ・バインディング
開発秘話

「手で押さえなくても、読める本がほしい」
その一言がきっかけで、
クータ・バインディングは生まれました。

従来は、本の強度を重視し、壊れにくいことを優先に製本していたため、開きのいい読みやすさが後回しになりがちでした。本が閉じてしまうのは「しょうがない」こと、という先入観もありました。それはつまり、読者の方に不便を強いてきたことでもあります。

「手で押さえなくても読める本」をつくるためには、「本の丈夫さ」と「開きやすさ」という相反する課題を同時にクリアしなければなりませんでした。試作を繰り返す日々が続く中、解決の糸口となったのが、手作業製本の時代に辞書などの背に貼ったクータ(空袋)です。これを応用した試作品は、本文の背と表紙の貼り合わせ部分に空洞ができ、閉じる力が分散されて「開いたまま閉じない」美しい出来栄えの本となりました。

次の課題は「本の丈夫さ」。既存の接着剤で試作を重ねましたが、なかなか理想とする結果が得られません。欧米へも接着剤を探しに出向いていた頃、新型接着剤「PUR」と巡り会いました。柔軟性と強度に優れたPURを採用することで、接着剤の塗布量を抑えて「開きやすさ」を実現しつつ、「本の丈夫さ」も保持するという理想的な仕上がりを実現しました。

読者の立場から「ものづくり」の大切さを実感することで誕生した「クータ・バインディング」は、「丈夫で、見やすく、美しい本」という渋谷文泉閣の理想を体現する技術であり、ユニバーサルデザインブックとして、多くの方に支持されています。

クータ・バインディングの日

9=「クータ」8=「バインディング」の頭文字の語呂合わせと、秋の読書シーズンにあたることから、日本記念日協会より、9月8日は『クータ・バインディングの日』として制定されています。