造本設計について

理想の本を仕上げるための「造本設計」

以前は、製本会社が造本会議から参加することは、あまり多くありませんでした。しかし、刷本が納入されてみて初めて製本時のリスクが発覚することが度々あり、また近年は装幀に凝った本も多くなってきていることから、本を企画する最初の段階で、当社にお声がけいただくことが増えてきました。

発行元様・デザイナー様・印刷会社様とともに、製本のプロである当社が造本会議に参加することで、企画されたデザインや装幀に対して、造本のポイントやリスクを的確にご提示し、造本設計を組み立てていくことができます。そしてまた発行される意図を詳しくお伺いする中で、よりご希望に沿った本に近づけるために、実績をもとにした様々な製本の仕様をご提案することができます。

理想の本に仕上げるために、ぜひ造本設計の段階から、渋谷文泉閣へお気軽にお声がけください。

製本会社が造本会議に
参加するメリット

発行元/デザイナー/印刷会社/製本会社
本づくりに関わる皆が一緒に話し合うことで、
安定した品質の仕様を考えることができます。

たしかな品質のご提供

たしかな品質のご提供

工程における不確定な要素を洗い出し、事前にご相談することにより、リスク回避の対応ができ、安定した品質の製品がご提供できます。

理想の本づくりを実現

理想の本づくりを実現

発行の意図や想いを伺うことで、理想とされる本づくりを丁寧に描き、造本のポイントを的確に捉えて、その実現をお手伝いします。

多数のサンプルをご提示

多数のサンプルをご提示

対面ではご提示数が限られますが、 Web会議の活用により、実績あるサンプル本を数多くご覧いただくことができ、アイデアが広がります。

多数のサンプルをご提示

印刷会社様をサポート

当社の製本知識で造本設計をバックアップすることにより、印刷から製本までのスムーズな進行が可能です。また製本実績を活かした付加価値のあるご提案をプラスし、印刷会社様とともに適正な価格反映を目指します。

造本設計で確認するポイント

理想の本をつくりあげるために、
造本設計の段階から確認するポイントとは?

製本には様々な落とし穴があります。例えば「表紙の寸法が合わない」「ケースの背幅が大きすぎる」「こんなハズじゃなかった・・」という事例が多くあります。製本時に発生する様々なリスクやトラブルを回避するためには、事前の準備が大切となります。

理想の本をつくりあげるために、造本設計の段階から当社が関わった場合、製本会社として確認するポイントをいくつかご紹介します。

【 仕様 】

「見返し」や「扉」に印刷がある。

【 確認ポイント 】

見返しや扉などは、本文に貼込みを行う必要があります。貼り込み箇所に印刷がされていた場合、糊接着をすることができません。
このため、事前の台割確認で貼り込み位置をご指定し、接着面の印刷を抜いて「シロ」を設けていただくことで、接着不良を防ぐことができます。

【 仕様 】

並製本の表紙で、裏面(表2・表3)にも印刷がある。

【 確認ポイント 】

並製本の表紙は、背糊と横糊の2か所で接着を行います。事前の仕様確認で、裏面(表2・表3)の接着部分をご指定し、印刷を抜いていただくことで、接着不良を防ぐことができます。

【 仕様 】

別丁の色扉や折込表が本文中に入る。

【 確認ポイント 】

本文中に入る扉や折込表は、折丁の中に差し込むのではなく、台を区切って貼り込みをします。
事前に挿入位置をお知らせいただくことで、製本工程を踏まえた台の区切りを検証し、適切な台割表をご提示いたします。

【 仕様 】

図録の本文用紙がb7トラネクスト<99>で紙厚は163μ相当。

【 確認ポイント 】

b7トラネクスト<99>を使用した印刷は、16p折を想定されていることが多くありますが、品質重視の図録という点を考慮し、折工程のシワを防ぐために、8p折での印刷をおすすめします。
このように事前に用紙をお知らせいただくことで、製本仕様に適した面付をご提案することができます。当社には長年の実績から得た知見があり、8p折・16p折・32p折の選定は、一歩踏み込んだ情報からご提示いたします。

【 仕様 】

コデックス装の製本で見開き絵柄の印刷がある。

【 確認ポイント 】

コデックス装の場合、ノド元まで本が開くため、折ズレが少ない8p折をおすすめします。また背丁が見えることを防ぐため、背ではなく罫下に袋丁を入れた面付が必要となります。角背ホローバックも同様です。事前に仕様をお知らせいただくことで、製本に適した面付内容をご提示いたします。

【 仕様 】

糸かがり綴じの上製本で見開き絵柄の印刷がある写真集。

【 確認ポイント 】

糸かがり綴じの上製本の場合、「下固め」という工程があります。かがり後に接着剤で背を仮固めすることです。この際、ノドまでベタの印刷があるとインキ部分には接着剤がつかず、糸かがりの穴から接着剤が染み出してくる「糊上がり」が起こり、印刷面どうしがくっつく「ブロッキング」につながります。

見積り時に「写真集」とお知らせいただくだけでは判断ができませんが、事前の打ち合わせや色校正で本文絵柄がわかっていれば、PUR背巻加工へのご提案ができ、ブロッキングを回避できます。

糸かがり綴じ 写真
【 仕様 】

上製本の表紙印刷で全面にベタの絵柄がある。

【 確認ポイント 】

上製の表紙や小口折表紙(雁垂表紙)にベタ印刷がある場合、折り返し部分の「インキ割れ」が発生します。
事前に絵柄をお知らせいただければ、PP加工のご提案ができ、刷り替え等のリスクが防げます。

ベタの絵柄 写真
【 仕様 】

黒ベタ印刷の表紙にマットPP加工がある。

【 確認ポイント 】

製本工程では機械を通すため、ある程度のキズが避けられません。特に濃い色の表紙やカバーではキズが目立ちます。これは通常のPP加工やニス加工では防ぐことができないため、絵柄(インキ量やベタ面積)によっては、PPフィルムの選定が必要です。
表紙絵柄を事前にお知らせいただければ、キズに強い「耐傷性マットPP」の加工をご提案することができ、安心の品質をご提供できます。

【 仕様 】

表紙の背幅いっぱいにタイトルをデザイン。

【 確認ポイント 】

上製本の場合、表紙の印刷レイアウトに注意が必要です。頁数からの計算だけでレイアウトされた場合、製本時に文字や絵柄が想定位置からズレる可能性があります。
事前に仕様をお知らせいただき、実際の用紙で束見本を作ることで、束幅やチリの寸法を判断し、表紙寸法を正確に確認できます。

【 仕様 】

ケース入りの法令集をつくる。

【 確認ポイント 】

印刷前の白紙と、印刷機を通した紙では、インキ量や印圧、抄造ロットにより紙厚にわずかな増減が生じることがあります。特に薄紙を使用した頁数の多い案件は、一枚では少しの差でも一冊の本になると数mmの差が出ることもあります。
収まりのいいケースに仕上げるためには、実際に印刷した刷本を使って束見本をつくり、正しいケース寸法で作業を進める必要があります。

【 仕様 】

表紙に箔押しがある。

【 確認ポイント 】

紙、布クロス、PPフィルムへの箔押には、適切な箔フィルムの選定が必要です。ご希望の仕様を事前にお知らせいただくことで、箔押し見本をつくることができます。箔フィルムの選定だけでなく、箔の入り具合や仕上がりを確認することができ、納得のいく仕上がりの製品がご提供できます。

製本視点から見るポイント

上記以外にも、製本視点からご提示できる、様々な確認ポイントがあります。
ご依頼の際は、造本設計の段階からぜひお声がけください。