渋谷文泉閣の品質

最上級のかたちで
お届けするための
「品質管理」

製本会社にとって品質は命です。
たくさんの想いが詰まった本を、手にする方に最上のかたちでお届けするために、渋谷文泉閣は徹底して品質にこだわります。
あたりまえのことを、誠実に、きちんと守る。
製本工程の全てが社内一貫生産だからこそできる、渋谷文泉閣の品質への取り組みをご紹介します。

安定した品質を保持

間違いのない本をお届けする。
あたりまえのことですが、簡単ではありません。機械工程の中では、ある程度のキズや汚れが避けられず、またひとの手が加わる工程では、気を付けていてもミスが起こる可能性は否めません。
それでも、ひたむきに品質を保つ努力を続け、間違いのない本をきちんとお届けできるよう、日々取り組んでいます。

  • 乱丁・落丁を防ぐ

    当社の丁合機には乱落丁を防ぐために、検査カメラや重量検知機が設置されていますが、それはあくまで補助と考え、事故防止の一番の砦は「ひと」による確認だと考えています。
    丁合作業前に正しい見本を作製し、実際に丁合機を通したものが一致しているか、ひとの目で照合し、確認しています。また背丁やノンブル・吊札の確認も必ず実施し、作業者一人一人が乱落丁防止を心掛けて作業しています。

  • 事故原因を把握するトレーサビリティ

    糸かがり綴じの工程では、機械によって変わりますが、A4判の本は6本、A5判の本は4本の糸によって、折丁が綴じられています。
    当社でかがり綴じをする際には、そのうち1本の糸に薄く目立たない「色糸」を使っています。これはどのかがり機で、誰が作業したかを明確にするためです。
    作業者が責任を持って取り組む証であり、事故発生時のトレーサビリティにもつながります。正しく事故原因を把握することで、再発防止にも役立っています。

  • 0.1mmの差を見極める目視確認

    渋谷文泉閣のPUR製本は、お客様より高い信頼をいただいております。その品質を保ち、PUR接着剤の持つ特性を生かした「丈夫で開きやすい本」をつくるためには、その塗布量を適切にコントールすることが重要です。当社では、機械に頼らず、熟練のオペレーターが自身の目で確認しています。専用のルーペを用いて、最適な塗布量を0.1mm単位で目視確認し、PUR製本の品質を保っています。

  • 一冊一冊すべて、ひとの目と手で検品

    本は昔はとても高級品で、中でも上製本は時代を超えて受け継がれるものとして、その時代の製本職人によって丁寧に仕立てられてきました。
    機械製本の現代においても、その精神は渋谷文泉閣の社員に受け継がれています。上質な本をお届けするために、上製本はすべて社内で一冊一冊検品しています。汚れ・キズや不具合がないか、社員の目と手で確認し、間違いのない本を皆様にお届けしています。

より美しく仕上げる

デジタルではない紙の本の魅力は、その素材や質感、匂いや手触りが五感で楽しめること。そして装幀の美しさやデザイン性に心惹かれる、モノとしての存在感にあります。

渋谷文泉閣では、ご依頼いただいた本をより美しく、出来栄えのいい本に仕上げるために、自社でできることを考え取り入れています。

  • シャープで美しい箔押しを実現

    たとえば上製本の表紙に、箔押しで題字を入れることで、とても特別感のある美しい本に仕上がります。そんな本の顔とも言える「箔押し文字」の美しさに、当社はこだわりがあります。
    一般に多く使用されるマグネシウムの腐食版ではなく、当社では箔押しに真鍮製の 「彫刻金版」を使っています。製本会社として国内で唯一、彫刻金版の作成機を自社で保有しています。このため、シャープで美しく、高品質な箔押し加工が可能となり、渋谷文泉閣の代名詞となっています。

  • 自社技術を組み合わせた、
    高品質で美しい本

    高品質な写真集や美術展の図録等には、PUR上製本をおすすめしています。ノド元まで印刷のあるような上製本の場合、下固め(仮固め)の工程で糸かがりの穴から接着剤が染み出して、印刷面を剝いでしまうブロッキング発生の恐れがあります。
    この下固めの替わりに、並製ラインを用いてPURで背巻きをし、上製本に仕立てることで、避けることが難しかったブロッキングの問題を解決しました。上製・並製とも社内一貫生産ができ、それぞれの技術を組み合わせることで実現した、高品質で美しい上製本です。

本を大切に思う心くばり

本を手にした方が、この本はどう作られたのかと、製本について思い描くことは多くないと思います。それでも、本を手に取ってわくわくし、喜んでもらえるのなら、それがつくり手の幸せです。
だから、私たちは見えないところでそっと、本づくりへの心くばりを欠かしません。手にした方の大切な一冊となることを願って、日々誠実に本と向き合っています。

  • 仕様に合わせた、本を守る工夫

    写真集・美術展図録・カタログなどの表紙に、黒ベタや濃い色の印刷を施すことが増えています。しかし製本する際、表紙は機械の中を擦れながら流れていくため、ある程度のキズや汚れは避けられません。
    事前に印刷内容がわかっている場合には、表紙に耐傷性のマットPP加工をおすすめしたり、三方断裁の際にキズが付きやすいものは、お客様からご要望がなくても、敷き紙を入れて対応しています。一点一点の物件に合わせた心くばりが、渋谷文泉閣の品質をつくり上げています。

  • 効率よりも、きれいな仕上がりを大切に

    上製本の表紙貼り工程では、貼り上がった後に平積みされるのが普通ですが、そうすると表紙が折り返されて、重なった表紙の角の部分に圧力がかかり、跡が付いてしまいます。
    当社では、上製本の表紙貼り加工も社内一貫で対応しており、状態をきれいに保つために、表紙を立てた状態で台車に積んでいきます。平積みの方が数多く重ねられるため効率はいいのですが、それよりも、きれいな仕上がりを大切にし、品質に気を配るのが、渋谷文泉閣の製本です。

  • あたりまえのことを、きちんと守る

    製本工程でつく汚れには、機械油や擦れなどの要因がありますが、もうひとつ特徴的なものが血液の付着です。品質管理上、素手で作業する工程もあり、紙で手を切ったり、乾燥による手荒れで出血 する場面も多くなります。あたりまえですが、本に付着したまま出荷しないよう、細心の注意を払っています。
    当社では、始業時・休憩時の出血チェックを行っています。出血が認められた場合は、万が一作業中に絆創膏が剥がれてもすぐに発見できるよう、指定の「青い絆創膏」で止血を行っています。皆様に安心・安全な本をお届けするのも、我々の使命です。

品質管理関連設備

ひとの目と手で丁寧に行うチェック作業の他に、
さらに品質管理を向上させるための関連設備を備えています。

  • 乱丁防止CCDカメラ

    上製用丁合機、並製4ライン全てに設備

  • 増丁・落丁防止重量検知機

    上製2ライン、並製4ライン全てに設備

  • トライオート設置カメラ

    カバーや帯の掛け間違いをカメラで検知し、混入を防ぎます。

  • 工場全館に加湿器設備

    上製・並製の両工場に完備。PUR製本の品質安定・紙の伸び・乾燥防止・静電気防止に配慮しています。

  • 入出荷・手作業監視カメラ

    入出荷時のトラブルや、手作業でのミス発生時のトレーサビリティに役立てています。