『ART-BOOK:絵画性と複製性』
本作品は「第63全国カタログ展」で、
「金賞」および「経済産業大臣賞」を受賞しました。
製本は「ドイツ装」。
通常は表1と表4に板紙を貼る仕様ですが、
今回は、表1のみに、別紙を貼っています。
一枚一枚丁寧に、手貼りで作業しました。
別貼の表紙は、T250mm×Y250mmという
正方形サイズ。バランスの取れたデザインに、
ノド側に7mm残した、本体の赤い背表紙が、
アクセントとして効いています。
本文には、トレーシングペーパーを
用いた章扉が5丁、使われています。
赤を基調に印刷された半透明の扉から、
次のページが印象的に浮かび上がります。
ただし…トレーシングペーパーは湿気に弱く、
また、ベコ(凹み傷)にもなりやすく、
製本屋泣かせでもあります。
今回、トレーシングペーパーが使われることを
事前にお聞きしていたため、二段階で断裁する
手順で作業を進めました。
まず、小口のみを断裁して、一晩寝かせます。
なんのためでしょう?
それは、断裁面から湿気を吸って、
トレーシングペーパーが少し紙伸びして
しまうからです。せっかく設計した装幀が、
損なわれてしまいます。
トレーシングペーパーを安定させてから、
翌日、改めて天地小口の三方を仕上げ裁ちし、
出来映えのいい本に仕上げました。
表4と背文字には、白箔の箔押しも。
細かい文字もシャープに見えるよう、
気を配りました。背文字にあるロゴは、
細かい網点で構成されていますが、
これも箔押しで表現! ぜひご注目ください。