有限会社村坂印刷様（岐阜県）より
ご依頼いただきました『一炊の夢』は、
会長の村坂氏がご自身で企画・執筆された
「人生77年回顧録」として、
こだわりの詰まった一冊に仕上がりました。

今回の仕様の大きな特徴は、
「スイス装」での製本。

スイス装とは、上製本の表紙の背の部分が、
本文と接着されていない装幀のことで、
「背開き上製本」とも呼ばれます。

表紙のボールには「Vカット」加工を施し、
きれいな開閉を実現。

本を開くと背が離れることで、
並製本のような読みやすさがあり、
また上製本の表紙で保護された
丈夫さも兼ね揃えます。

表紙は、印刷から当社でお受けしました。
「いなほ」という和紙風の紙に、
プロセス4色でご希望の紙色を刷り、
そこに「書名」部分をスポットニスのみで
表現しています。

「いなほ」の風合いを残すため、
書名以外は、あえて表面加工をしていません。

そのため手に取るうちに、ケースとの擦れ
などにより、表面に毛羽立ちも出ますが、
時とともに変化していく風合いも、
紙の本ならではの「味」と言える
のではないでしょうか。

今回ご紹介するにあたって、
村坂会長に感想を伺ったところ、
スポットニスの加工をした「書名」部分が、
他の部分より毛羽立ちが抑えられ、
紙の状態が保たれるため、
「数年後にどんな表紙になっているか楽しみ」
とのことでした。

回顧録という大切な作品を、当社にお任せ
いただけたことを嬉しく思うとともに、
使い込まれた表紙が、これから
どうなっていくのか、私たちも楽しみです。