『カステーラのような明るい夜』
詩人・西尾勝彦氏が編集された、尾形亀之助の詩集です。
装画は、版画家でイラストレーターの保光敏将氏、
装幀は、クラフト・エヴィング商會様が担当されています。
製本は「仮フランス装」で仕上げました。
「フランス装」は、表紙の三方にチリを付けて、
内側に折り込む装幀です。この折り込んだ部分を
糊付けしたものが「仮」フランス装、折り込みを
そのままにしているのが「本」フランス装です。
もともとは、「仮フランス装」も「本フランス装」も
どちらも<仮>の製本で、本を手に入れた後、
自分の好みで装幀し直すための一時的な製本。
そのため、見返しは表紙にベタ貼りせず、
表紙と本体は「背」のみでくっついています。
本来は<仮>であったこの仕様が、
現在では、デザインとしてのおもしろさもあり、
人気の装幀となっています。
表紙の折り返しの趣きや、チリが付くことで
上製本のような落ち着いた雰囲気も生まれます。
印刷も、すべて渋谷文泉閣でお受けしました。
硬質な印象の「サガンGA 黒」を用いた表紙には、
星明かりを思わせる「銀」でタイトルを印刷。
カバーの素敵なイラストを堪能された後には、
そっと内側ものぞいて、夜空のような静謐さと、
そして仮フランス装の装幀も、お楽しみください。