『新・和本装丁「万葉画集」』
日本図書設計家協会様の装画家・装丁家の方が
デザインされた「令和時代の新しい和本」です。
新元号の典拠となった『万葉集』から20首を選び、
絵と文字で表現する「万葉画集」として
一冊の本に仕立てられています。
印刷から当社でお受けしました。
製本は「小口袋とじ」の仕様のため、
印刷の面付は、通常の右綴じ本とは異なります。
まず、印刷時の用紙「裏」面は、
すべて印刷なしの「白」となります。
製本された時に「袋」の内側になるからです。
また小口に「袋」がくるため、
面付時の頁の配置も変わってきます。
面付内容の写真もアップしていますので、
どうぞご参考ください。
製版では「丁標」の位置にも注意が必要でした。
小口側の「袋」は仕上がり面となるため、
丁標は付けられません。一方で背側は、
全て「ペラ」の状態となるため、
こちらに背丁を設定することもできません。
このため、今回は「地袋」部分に、
背丁にあたる「袋丁」を設定しました。
中綴じ本でも、天袋や地袋に設定する
場合がありますが、それと同様です。
また今回の印刷仕様で特徴的なのが、
本文の小口側に少し「白」を入れている点。
これも製本が「小口袋とじ」だからです。
「折り」加工にも注意を払って進めますが、
それでも若干の「折ズレ」が出る可能性は否めません。
折位置となる「小口」(袋) 側にギリギリまで
絵柄を入れてしまうと、折ズレにより
前後頁のイラストの「境」が、
頁上に出てしまう懸念があります。
そのため、小口側に少し「白」を入れ、
余裕を持たせた設計になっています。
本文用紙には「新鳥の子」という、
和風の「鳥の子紙」を再現した
柔らかな風合いの紙が採用されています。
しっとりとした手触りと、
優しい色調を、ぜひお楽しみください。