『土水火風人 レンガを作る』
著者の方が、インドで偶然遭遇したレンガ工場。
その前時代的な大人数の労働風景と、
規模の大きさに圧倒され、働く人々の
表情にカメラを向けた写真集です。
写真の刷色は、スーパーブラックと、
それをメジュームで薄めた色の、
「ダブルトーン」の仕様。
現地、インドの人々の表情に刻まれた
深い陰影が、見事に表現されています。
「私家版」の表紙には、著者の方が現地で
買われた「サリー」の生地が使われています。
写真集の中にも登場し、インドの人々が実際に
身につけているものと同じ生地です。
色とりどりのサリー生地は、反物(ロール)ではなく、
170㎝×80㎝程度に「平断ち」(1枚ずつに断裁)
されたものが約60枚。
それぞれ柄の出方が違い、生地のどの部分を使うか
著者の方がご自身で、1枚ずつ選ばれました。
それを元に生地にマークを付け、手作業で、
表紙用のクロスとして、切り出しました。
その生地に、当社で紙を裏打ち加工し、
表紙に使用しています。
箔押しには、いぶし銀の「2B銀」を使用。
「レンガの釜」を上から見た風景を
デザインしています。
表紙の半分ほどの面積に箔押し加工する
大判の凸版のため、圧力が分散してしまいます。
きれいに加工するには調整が必要で、
セッティングに約半日かかった力作です。
この本には、著者の方の思い入れがあり、
何度も当社に足を運んでいただきました。
写真集に対する「熱意」を直に、
感じることができました。
製本現場では、著者の方と
お会いできる機会が多くありません。
直接お話をしながら、一緒に「本づくり」ができる
貴重な経験をさせていただき、感謝しております。