本とものづくりへの興味が入社のきっかけに
学生時代から本が好きでしたし、大学は文学部を卒業したので、本関係の仕事に就きたい思いがありました。ただ、当初は製本会社の仕事はあまりピンと来ていなかったのが正直なところです。
しかし仕事内容を説明してもらううちに、製本は「ものづくり」の世界だとわかり、興味が湧いてきました。昔から手先が器用で「ものづくり」が得意だったことや、大工である父が、何もない状態から家という立体物を建てる姿に憧れもあったからです。「本づくり」を手がけてみたくなり、入社を決めました。
現場で培った技術と知識を生かして営業へ
現在は東京の一部と愛知・静岡・三重の東海エリアの、主に印刷会社のお客様を担当しています。本づくりのアドバイスや提案のほか、お見積りの作成、金額の交渉、社内では工程管理や加工手配などをしています。
時にはお客様から木材やアクリルなど紙ではない素材を使った本をつくりたいとの相談を受けることも。そうした注文に対し、どうしたら形にできるかを、現場を巻き込みながら試行錯誤してつくっています。
実は私は最初、技術職として入社し、現場の仕事に5年間携わっていました。一連の機械操作も習得し主任を任されていましたが、工程の一部に関わるということより、もっと自由に働いてみたいという思いが募っていました。ちょうどそのとき、営業部に欠員が出て社内公募があったため、手を挙げました。現場の知識があることで、営業先ですぐに質問に答えられるなど、かつての経験が生かせていることは私の強みであり、どちらも経験できてよかったと感じています。
迅速かつまめな対応で信頼関係を構築
当社の営業は、何か商品を売るわけではなく、技術力や安心感という、目に見えないものを売る仕事。お客様が発注先を決める際、当社を選び、声をかけていただけるような信頼関係を築くことが大切です。
そのため、特に何か頼まれごとがなくても営業先には常に顔を出しますし、相談などに対するレスポンスの速さは一番に意識しています。特に私は遠方のお客様が多く、電話やFAX、メールでのやりとりが多いため、お会いして話せない分、お客様が不安を感じがちです。そこで心配や距離感を払拭できるよう、どんな時も素早い反応を心がけています。
お客様と一緒にものづくりができるやりがい
企業の記念誌や写真集、美術展の図録といった本は後世に残されますし、子どもの頃に見た思い出の本などはずっと手元に残しておいたり、受け継がれていくものでもあります。そうした一冊一冊異なる「オーダーメイド」のものづくりに携われることが、この仕事の一番のやりがいです。
魅力ある本づくりのために、お客様に尋ねられた技術や設備の説明をするだけなく、当社ができることを幅広くご案内しています。お客様の本づくりのアイデアが広がり、当社の技術をフルに活用していただけると嬉しいです。参考になりそうな過去の作品事例も紹介しますが、前例のない仕様も歓迎で、面白い本づくりを一緒に考えましょう、ということ。試作をするなかで、既存の技術や設備の、新しい使い方が発見できることもあります。このようにお客様と一緒にものづくりができるところも、この仕事の魅力だと感じています。
また、現場で働くスタッフはお客様の顔が見えないため、営業先からいただいた感謝の言葉は必ず現場の責任者に伝えています。現場があってこその営業職ですからね。